ここで、いままで私があげてきた術式の総合評価を一覧に示したいと思います。恐らく、みなさんの中には、手術の方法を☆で評価するなんて不謹慎ではないか?と思われる方もいらっしゃると思います。しかも、この評価は私個人の経験と考えに基づいていて客観的なものではありません。しかし、ここではあえてわかり易さにこだわりました。お許しください。
術式 | 私の総合評価 | 再発率 | 性交渉 |
メッシュ露出率 |
腟式子宮全摘術+α | ★★★☆☆ | 高 | 可 | 無 |
全腟閉鎖術+α | ★★★★★ | 低 | 不可 | 無 |
前壁腟式メッシュ | ★★★★☆ | 中 | 可 | 低 |
後壁腟式メッシュ | ★★☆☆☆ | 中 | 可 | 高 |
前壁腟式メッシュ+仙棘靭帯固定術 |
★★★★☆ |
低? |
可 |
低 |
一体型メッシュ | ★★★☆☆ | 低 | 可 | 高 |
腹腔鏡下仙骨腟固定術 | ★★★★☆ |
低 |
可 |
低 |
この評価は、私の20年弱の産婦人科としての経験と数百例の腟式メッシュと百以上の腹腔鏡下仙骨腟固定術の経験と知見から評価したものです。したがって、客観的なものではありませんが、かなり自信をもって掲示しています。
実際、日常臨床における手術において、殆どの症例で上の表における★四つ以上の手術を中心に手術をしているのが現状です。
一番、高評価なのが、実は、全腟閉鎖術+子宮全摘術+肛門挙筋縫縮術です。なぜなら、この手術は、非常に完成度が高く、手術が終わったと同時に、術後に心配する事は殆ど何もありません。つまり、手術終了=治療終了という感じが強いのです。
それに対して、メッシュ手術は、前壁腟式メッシュと腹腔鏡下仙骨腟固定術は、手術自体としての完成度は、非常に高いのですが、メッシュ使用という事自体がリスクと感じています。
というのも、メッシュは、溶けないため患者の体内にずっと残る事になります。したがって、メッシュによるトラブルが将来におこらないとは言い切れないのです。大丈夫だとは思うもののリスクはリスクなので、☆四つという事になりました。
膀胱瘤に対しての前壁メッシュの総合評価固いですが、これは症例を選んでの評価です。実際には、後腟壁が一緒に出ている骨盤臓器脱が多いので、前壁メッシュ手術に従来法である腟壁形成術等(従来法)を併施したりして、患者の病態に合わせた手術を行います。