日本は、世界一周産期死亡が少ないと言われている。
つまり、日本の出産は、世界一安全だと言う事だ。
だから、だろうか。
一般の方々からすると、
出産なんて無事に赤ん坊が生まれて当たり前!
と考えている人が多い。
しかし、
実際には、
出産は、
お母さん、そして、赤ちゃんにとっては、命をかけた壮絶な戦いだ。
無事で済むという保証はどこにもない。
そして、我々、産婦人科医においても、
救えるか救えないかのギリギリの線での壮絶な戦いだ。
安心なお産なんて、一つもない。
無事に生まれるたびに、毎回肩を撫で下ろす。
多分、皆さんは、何がそんなに怖いのかわからないと思う。
赤ちゃんは、子宮の中に入っていて、
胎盤を通して呼吸している。
その胎盤と赤ちゃんは、臍のうで繋がっている。
この“臍のう”は、赤ちゃんにとってまさに命綱である。
この“臍のう”を圧迫することは、赤ちゃんの首が締まる事を意味する。
そして、その“臍のう”の長さは50cm以上ある。
そんな状態で、赤ちゃんは、
子宮という狭く外から隔絶されたブラックボックスの中に入っている。
その声は、我々には届かない。
だから、我々は、赤ちゃんのかすかな心臓の音の変化に耳をすます。
“何か、伝えたいことはないのかと“
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