”性行為をすると、すごくお腹がいたい…”といったような症状はありませんか?もし、そうなら、あなたは子宮内膜症性かも知れません。性交痛は、子宮内膜症の主要な症状の一つです。もし、あなたが性交痛を感じるなら、産婦人科を受診した方がいいと思います。
性交痛を感じる病気は沢山あります。例えば、外陰部の裂傷、腟の炎症、骨盤内腹膜炎、ホルモン不足、排卵に伴う出血等々です。
しかし、もし、あなたが性交の度に痛みを感じ、生理痛も強いと感じているなら子宮内膜症が強く疑われます。しかも、結構、重症の子宮内膜症です。
なんで、子宮内膜症で性交痛が起こるかといいますと、子宮内膜症による出血と炎症で、子宮が後ろに折れ曲がった状態で癒着したり(後屈)、子宮の根本を支えている靭帯(仙骨子宮靭帯)が肥厚して堅くなったりして、全体的に動きが悪くなるためです。
通常、子宮はお腹のなかで比較的自由に動きます。この状態であれば、性交し子宮が動かされても痛みは起こしません。しかし、上のように子宮内膜症で子宮の動きが悪くなった状態ですと、性交で子宮が刺激さえると痛みが起こる訳です。
子宮内膜症があるかどうかを診断するのに必要な検査は、腟からの超音波検査(経腟超音波検査)と内診です。どちらの検査も、内診台(分娩台のような物)に座った状態で行います。
超音波検査では、卵巣の腫れ(卵巣チョコレート嚢腫)や子宮の腫大(子宮腺筋症)等の子宮内膜症病変があるかどうかをチェックできます。そして、内診検査では子宮周辺の痛みの有無をチェックできます。内診時の強い痛みは、子宮内膜症が重症である事を示します。
その他の重要な検査として、血液検査とMRI画像検査があります。
性交痛を起こす子宮内膜症というのは既に重症な子宮内膜症であることが多いので、ほっておかない方がいいです。あんまりほっておくと子宮内膜症が、直腸や膀胱といったような他の組織まで及んでそれらを取り除かなければならなくなります。したがって、産婦人科を受診して治療を受ける事を進めます。
子宮内膜症による性交痛をなくす方法は、二つあります。
現時点で、妊娠の希望がなく、卵巣があまり大きく腫れていない状態(重症子宮内膜症でも卵巣が腫れていない事はよくあります)では、
薬で生理を止める事がよいと思います。
一方、妊娠希望がある場合は、痛みで性交が出来ないと困りますので手術です。また、卵巣が大きく腫れている(4cm以上)場合も、手術の方がいいと思います。
性交痛があるような子宮内膜症は重症な事が多いので、その手術は非常に難しくなります。手術者の技量がかなり影響してくるので、手術を受ける際は、経験と実績が豊富な施設で手術を受ける事をお勧めします。
子宮内膜症には、どのような症状があるのでしょう?
我々医者が着目している代表的な症状に次のようなものがあります。
⇒ 月経困難症
⇒ 性交痛
⇒ 排便痛
⇒ 慢性骨盤痛
⇒ 不妊症
以上のような症状が子宮内膜症の代表的な症状です。